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【経済】春闘2018/働き方改革 労使で模索

2018/01/23

「残業代ゼロ」など対立も

 2018年春闘が事実上スタートした。賃上げとともに働き方改革が焦点になる。長時間労働是正で労使の認識は一致、経団連は残業代が減った場合に賃金を補う必要性にも踏み込む。政府は22日召集の通常国会中に関連法案の成立を目指すが、法案に含まれる高度プロフェッショナル制度などで労使は対立。働き方のあるべき姿を巡る隔たりは残る。

 「遅くまで毎日仕事をする日本人の働き方を変えていく必要がある。社員の健康と安全を確保するのは経営者の責務、責任だ」。22日、経団連が東京都内で開き、主要企業の労使が意見を交わした「労使フォーラム」で、榊原定征会長は冒頭あいさつの半分を費やし働き方改革への積極姿勢をアピールした。

 経団連は、16日に発表した経営労働政策特別委員会(経労委)報告で、長時間労働が是正されれば残業代が減ると指摘。大和総研が昨年八月に公表したリポートでは、残業が月60時間に抑制された場合、国内で年間8・5兆円の残業代が減るとの試算が出ている。

 連合も時短を「喫緊の課題」として春闘要求の柱とし、時間外労働に関する労使協定(三六協定)の見直しなどを掲げる。連合傘下の最大の産業別労組「UAゼンセン」は午後10時から翌日午前6時までの深夜労働について、原則として3連続日までとする要求を盛り込んだ。

 政府は通常国会で、残業規制を柱とする関連法案を提出する考えだ。22日、施政方針で安倍晋三首相は「大改革だ」と力を込めた。今春以降に本格化するとみられる国会論戦を見据え、交渉に本腰を入れる。

 ただ、法案には一部専門職を労働時間規制から外し「残業代ゼロ」制度との批判がある高度プロフェッショナル制度や裁量労働制の対象拡大が含まれ、「高い能力を持つ人材の一層の活躍を促す」とする経団連と「長時間労働を助長する」と反発する労組との溝は深い。残業代の補填についても、経団連がボーナスや手当で支払うことも手段だとする一方、連合は「基本給を引き上げるべきだ」と反論する。