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【愛知】「長時間労働は美徳」4割 働き方改革推進大会

2018/01/23

「政府が推奨する働き方改革は、どのように進めればいいのか」。多くの中小企業が抱える疑問に答えるため、愛知労働局は22日、県内企業の幹部ら500人を集めた「働き方改革推進大会」を名古屋市東区のウィルあいちで開いた。労使の代表と産業医、有識者の計四人による討論会があり、来場者が○×のパネルで示した回答を掘り下げる形で職場の問題点と改善策を探った。

 「長時間働くことが美徳となっているか」。この質問への来場者の回答は「×」が半数を超えたが、「○」も4割ほどいた。

 パネリストのうち、労使問題に詳しい愛知学泉大の鈴木誠講師は「○」の多さを問題視し、「こうした意識は変えていくべきだ」と強調。デンソー(刈谷市)の向井康常務も賛同して「社長の発案で、意義に疑問がありながらも『前例だから』とやり続けていた業務をやめるようにしている」と社の取り組みを報告した。

 「労使のコミュニケーションが取れているか」との質問には「×」が大半を占め、会場にどよめきが起きた。

 武蔵精密(豊橋市)労働組合の郡山玲執行委員長は、解決策として「変化が起きるたびに意思疎通を図るのでは、労使とも疲弊してしまいやすい。定例の協議の場を設けて、普段から顔を合わせるようにすることが効果的だ」と提案した。

 ブラザー工業(名古屋市瑞穂区)の上原正道・統括産業医は、米国企業の成功例を基に導入した上司と部下による定期的な個別面談「1on1(ワンオンワン)ミーティング」を例に「部下は上司に承認されることでやる気が出る。上司が部下の意見を傾聴することも重要だ」と説明した。

 進行役を務めた愛知労働局の四方智美雇用環境均等部長は「コミュニケーションの向上により、お金をかけずに働き方改革の下地をつくれる」と指摘し、会場の経営者らに改善を呼び掛けた。

 (谷悠己)

○×のパネルで質問に答える来場者=名古屋市東区のウィルあいちで
○×のパネルで質問に答える来場者=名古屋市東区のウィルあいちで