中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】教員 過労死ライン超53%

2017/09/16

残業80時間超 6月、愛知の公立中

 愛知県内の公立中学校教員の5割強が6月、「過労死ライン」とされる80時間を超える時間外勤務をしていたことが、県教委が繁忙期を対象に初めて実施した調査で分かった。

 時間外勤務時間の申告を求めた中学校教員(約9500人)の99%、小学校教員(約1万6500人)の98%が回答。うち、中学校は53%に上る教員が、80時間超の時間外勤務をしていた。さらに、100時間超も32・5%に上った。

 一方、小学校教員では80時間超が25・5%、100時間超が9・1%だった。

 厚生労働省は、心疾患や脳疾患と業務との関連が疑われる、いわゆる「過労死ライン」を「発症直前の1カ月で100時間超、または、2~6カ月にわたり月平均80時間超の残業があったケース」としている。

 県教委は従来、毎年11月に勤務実態を調査し、昨年11月の「80時間超」は中学校38・6%、小学校12・7%。本年度から修学旅行や運動会など学校行事が多い6月、年度末の3月にも実施し、より詳しい実態を把握することにした。

 県教委の担当者は「行事が多い月なので想定内だが、市町村とともに対策を徹底したい」と話す。

 教員の長時間労働は社会問題化している。県教委は2019年度に「80時間超」をゼロとするのが目標。本年度、教員の負担になっているとされる中学校の部活動に週2日の「休養日」を設けるよう義務づけた。

 文部科学省の中教審特別部会は8月、タイムカードの導入や部活休養日の設定などの改善策を緊急提言した。

(メモ)

【教員の勤務時間】 地方公務員法や各自治体の条例は「休憩を除き1日7時間45分」と定める。政令により(1)生徒の実習(2)学校行事(3)職員会議(4)非常災害-に限って「時間外勤務」が認められるが、実態は、部活動や授業の準備のための残業が常態化している。いずれも「自発的行為」とみなされ、時間外勤務手当は支給されない。