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【社会】働き方法案要綱を答申 労政審労組側の反対意見併記

2017/09/16

 収入が高い一部専門職を労働時間規制から外す「残業代ゼロ」制度(高度プロフェッショナル制度)創設を柱とする「働き方改革」関連一括法案要綱について、厚生労働省の労働政策審議会は15日、「おおむね妥当」として加藤勝信厚労相に答申した。ただ、残業代ゼロ制度創設と「みなし労働時間」に定額賃金を支払う裁量労働制の対象拡大について「長時間労働を助長する恐れが払拭(ふっしょく)されておらず、実施すべきではない」とする労働組合代表の反対意見を答申に併記した。

 政府は今月下旬にも一括法案を閣議決定した上で、臨時国会に提出。成立させた後、2019年4月の施行を目指す。

 15日の労政審では、労働側の委員が、一括法案要綱の中で労働基準法改正案に盛り込まれた残業代ゼロ制度創設について「最低基準を定める労基法の労働時間規制の適用を除外する制度。対象となる人が仕事への強い責任感から働き過ぎてしまう懸念がある」と指摘した。

 同じく労基法改正案で、裁量労働制の対象を企画や立案、調査を担う営業職などへ拡大すると盛り込まれたことについても「対象者は長時間労働になりがちであったり、仕事の進め方に裁量がないなどの労働実態がある。こうした問題を是正することが先だ」と批判した。これに対し、経営側は「イノベーション(技術革新)創出の促進、時間と場所に制約されない柔軟な働き方に大きく資するものだ」として早期実施を求めた。

 答申後、連合の神津里季生(こうづりきお)会長は記者会見し、法案要綱に残業代ゼロ制度創設と裁量労働制の拡大が盛り込まれたことに「必要ないと主張してきた。極めて遺憾であり残念」と述べた。 (上坂修子、木谷孝洋)