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【地域経済】「求人増で賃上げ」復活東海16年分析 「脱デフレ反映」

2017/06/21

 中部圏社会経済研究所(名古屋市)は20日、東海地方の人手不足と賃金上昇に関するリポートを発表した。企業の求人数が求職者数より多くなっても、賃金が伸びない状態が2000年代半ばから続いてきたが、ここに来て、求人が増えれば賃金が上がる関係が復活したと分析している。

 仕事を探す1人当たりに求人が何件あるかを示す「有効求人倍率」と賃金の伸びの関係を推計すると、東海3県ではバブル期以前の1980~89年には有効求人倍率が0・1ポイント改善すると、賃金が0・2%上昇する安定した関係があった。

 だが、2005~14年には両者にはっきりした関係がなくなり、労働需給が逼迫(ひっぱく)しても賃上げにつながらなかった。そこで直近の16年の新規求人数の伸び率を横軸に、賃金の伸び率を縦軸に取ったグラフを描くと、80年代のように緩やかな右上がりの相関関係が認められた。

 中部社研は、脱デフレの動きが反映されていると分析。「企業はデフレ期は商品の値上げや賃上げに慎重だったが、物価上昇を目指すアベノミクスの影響でそうしたアレルギーはなくなりつつある」とみる。今後は「賃金と物価がリンクしながら上昇していく可能性が高い」と予測している。