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【暮らし】<おやじ塾>ビジネスバッグ編 「手提げに変身」タイプ重宝

2017/06/16

 朝夕の通勤で、リュックを背負った中高年サラリーマンを見かけることが増えてきた。リュックといえば、休日や若者といったイメージも依然として強く、女性の間では「スーツにはどうなの?」と疑問視する声もある。さて、ビジネスにリュックはありなのか?

 多くのオフィスが入居する高層ビルの建設が続き、にぎわう名古屋駅前。一大ビジネスエリアを中高年男性が行き交う。バッグに注目すると、圧倒的に多いのはブリーフケースだ。ショルダーバッグの人も目立つが、ベルトが肩に食い込み、見ている側まで肩がずしんと重くなってくる。

 さて、リュック派はといえば、このエリアではまだ少数。40代、50代に加えて60代くらいの男性もちらほら。ブリーフケースやショルダーの人よりも足取りが軽やかに見える。

 「スマートフォンの普及と健康志向が影響しているのでは」と話すのは、ジェイアール名古屋高島屋で紳士雑貨売り場を担当する岩崎好博さん(37)。ビジネス向けリュックの購入層は、以前は30代が主だったが、最近は40~50代が増えているという。確かに両手が空けばスマホは操作しやすい。荷物の重みが両肩に分散される分、通勤で歩くのも楽になりそうだ。

 しかし、ビジネスマナーとしてはどうだろう。岩崎さんは「商談でマイナスになることはあっても、プラスになることはない」ときっぱり。クールビズで着られるポロシャツと同様、ビジネスアイテムとしてはまだ定着しておらず、相手に悪い印象を与えてしまう可能性があるという。

 問題をクリアできる商品として勧めるのが、横に持ち手があり、ブリーフケースに早変わりするタイプ。背面にポケットがあれば、肩ベルトも収納できて一見、リュックと分からない。使っているのが普通のリュックの場合、仕事先に着いたら手で持った方がよさそうだ。

 背負った時のリュックの高さにも気を付けたい。低いとだらしない印象になる。「リュックの上部が肩のラインの少し下にくるように」とアドバイスする。

 一方、創刊60年を超える男性ファッション誌メンズクラブの西川昌宏副編集長(41)は「女性受けが悪いのは、着古したスーツにナイロンリュックの組み合わせ。オタクっぽさや、ランドセルを背負っているような子どもっぽさを感じさせる」と解説。さらに「そもそもスーツにリュックは合わない」と指摘した。

 理由はスーツには肩パッドがあるため。パッドにリュックの肩ベルトが重なると、すっきり着こなせない、というわけだ。それでもリュックをという場合は、上下そろいのスーツをやめて、ジャケットとパンツを自由に組み合わせる「ジャケパン」スタイルがいいという。ただし、トータルコーディネートのセンスが問われる。

 「無難なのはブリーフケース」と西川さん。軽いナイロン素材が主流になっているが、革素材やふた付きで、かっちりとして見えるタイプもある。「中高年だからこそ、こういうものが似合って格好いいはず」。若々しさもいいけれど、年を重ねた魅力もある。シーンによって、この双方を使い分けてこそ、クールでダンディーなおやじといえそうだ。

岩崎好博さん(右)は「背中とリュックの間に隙間があったら下げすぎ」と話す高島屋で=名古屋市のジェイアール名古屋
岩崎好博さん(右)は「背中とリュックの間に隙間があったら下げすぎ」と話す高島屋で=名古屋市のジェイアール名古屋
リュックの肩ベルトをしまうと、どこから見てもブリーフケース=名古屋市のジェイアール名古屋
リュックの肩ベルトをしまうと、どこから見てもブリーフケース=名古屋市のジェイアール名古屋