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【愛知】日本ガイシ「その業務必要?」社員主体で働き方改革

2017/02/24

4月新制度 部署超え交流促進

 ことしの春闘の大きなテーマの1つが長時間労働の是正をはじめとした働き方改革だ。日本ガイシ(名古屋市)は、既に無駄な業務の削減や社員1人1人の効率性向上に向けた取り組みを始めており、4月からは社員同士の交流を促進する新制度も導入する。(長田弘己)

 大島卓社長が働き方の見直しに着手したのが2年前。第1弾として、社員1人1人に仕事の目標を宣言してもらった。工場では誰もが目につく場所に目標を張り出し、上司はそれをサポートする。1人1人に目標を達成するには何をしたらいいのかを考えさせ、仕事の量ではなく質にこだわる姿勢を徹底させた。

 特に業務の無駄を洗い出す対象になったのが、本社部門。社長が現場で聞き取りをすると、ある部署では会議のための資料づくりに忙殺されていた。「本当に必要なのか」を突き詰め、今では会議数は半減したという。役員会の決算説明資料はこれまで約1500ページと膨大で、訂正するたびに社員が印刷、製本のやり直し作業に追われていた。電子データをタブレットで見せる方式に変えたところ、大幅に作業時間を減らすことができた。

 出発点は海外勤務経験のある大島社長の問題意識だった。日本ガイシの海外拠点は16カ国にわたり、従業員は国内外合わせて約2万人。日本では勤務時間の長さが勤勉さとされがちだが、大島社長は「日本はホワイトカラー(事務、管理職)の生産性が低い。仕事は世界に広がるが、本当に国際的な企業になれていないと感じていた」と言う。

 4月からは社員同士のコミュニケーションの活性化にも一手を打つ。部署を超え、飲食を含んだ懇親会などの費用を負担する試みを始める。社員の交流は生産性向上に欠かせないとの考えからだ。

 働き方改革について大島社長は「まずは業務の無駄を排除しないと、残業するなとだけ言っても無理。草の根みたいな細かいことでも、一つ一つトップダウンで決めないと(改革は)できない」と話している。