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【愛知】豊橋労基署が調査 がん治療と就労

2017/02/18

中小両立手探り

 がん患者の就労支援が課題となる中、豊橋労働基準監督署(愛知県豊橋市)は昨年七月、中部六県の労基署では初めて、管内の事業所に従業員のがんに関する実態調査をした。懸念される病気を理由にした退職は少なかったものの、中小企業では治療と就労の両立を支える職場環境づくりが難しい現状が浮かんだ。

 医学の進歩でがんの診断から5年後の生存率が6割を超える。治療と就労の両立は、子育てや介護との両立と並ぶ課題で、企業の支援が重要になっている。

 調査は、東三河8市町村の約1000事業所に実施し、266事業所から回答を得た。製造業が六割を占め、従業員数は10~49人が46%で最多。1月に結果をまとめた。

 厚生労働省が両立支援のため昨年2月に作成したガイドラインを「見たことがある」と答えたのは19%にとどまった。ガイドラインが求める相談窓口を事業所に整備しているのは、大規模事業所(300人以上)では70%を超えたが、全体では38%。従業員に対する意識啓発の研修をしているのは7%だったが、ガイドラインの説明会への参加希望は46%に上った。

 過去3年間にがんになった従業員がいた事業所は29%。休職期間の多くは「3カ月以内」で、ほとんどが1年以内に復職し、大半が休職前と同じ職場と職種に戻っていた。一方、がんと診断されて退職した人は、がん患者がいた76事業所の132人のうち、10人にとどまった。

 豊橋労基署の担当者は「健康管理スタッフの人的資源のない中小の事業所は、外部からの援助も考える必要がある」と指摘する。

 愛知、岐阜、三重、長野、福井、滋賀の中部6県の労基署以外では、滋賀県が2013年に小規模事業所を対象に調査している。