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【社会】残業上限 年720時間に 政府提示 月当たりは明記せず

2017/02/15

 安倍晋三首相は14日に首相官邸で開いた働き方改革実現会議で、企業の長時間労働是正に関する案を示した。残業時間は年間720時間(月平均60時間)を上限に罰則付きで法定化し規制するとしたが、繁忙期など一カ月当たりの上限時間は「設ける」にとどめた。当初の案では、月100時間まで認めるとしていたが、労使の調整がつかず、踏み込まなかった。3月末にとりまとめる実行計画で盛り込むかが焦点となる。(中根政人)

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 会議で首相は「労働者側と使用者側には、しっかりと合意を形成していただく必要がある」と求めた。

 政府案では、大臣告示となっている月45時間、年間360時間の残業の限度時間を法定化。その上で、残業時間の上限の例外を年間720時間(月平均60時間)に設定。繁忙期などで、さらに長時間の残業をどの程度まで認めるかは、今後議論する。

 建設業や運送業、企業の研究開発部門などでは、労働基準法三六条の労使協定(サブロク協定)による残業時間上限が適用除外となっているが、政府案では今後の検討課題とされた。終業から次の勤務までの休息時間(勤務間インターバル)も、法規制の必要性には踏み込まなかった。

 会議では、経団連の榊原定征会長が「上限規制は賛成だが、厳しい規制は企業の競争力を低下させる」と指摘。連合の神津里季生(こうづりきお)会長は「基本的な方向性は、これまで私たちが述べてきたことを踏まえていただいている」と述べた。

 現行の労働基準法ではサブロク協定を結べば、1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて働かせられる。繁忙期などは半年間、制限のない時間外労働も事実上可能になっている。