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【地域経済】職場発うちの秘策/リンナイ フォトコンで本業見つめる

2016/10/20

「熱と暮らし」私の一枚

 ガス機器大手のリンナイ(名古屋市)は、本業にかかわる「熱と暮らし」をテーマに社員から募る写真コンテストを開いている。社員が本業を見つめる機会をつくりたいと3年前に始め、入賞作品などを社内報で紹介している。海外拠点を広げる中、昨年度は海外の社員から半数近くが寄せられ、言語を問わない共通の話題を提供している。(島将之)

 ◇ ◇ ◇

 お風呂につかり、気持ちよさそうに顔を寄せ合う幼い兄弟。きらびやかなネオンが照らす上海の夜景。過去3回に寄せられた作品は計400点。「これが答えという1枚はない。社員の思いやイメージを集めて公開することが大事」。発案した広報部の田中愛美さん(30)は説明する。

 企画の意図は2つあった。内藤弘康社長が常々口にする「熱で人の暮らしを豊かにする」という意味を、社員にどう深く考えてもらうか。さらに、国外で働くグループ社員との一体感をどう保っていくか。アジア、欧州など16の国と地域に現地法人を持つが、「国内外の社員が参加できる企画がなかった」ためだ。

 第1回は日本語と英語の応募サイトで募集し、2回目から中国語を加えると海外の応募が増えた。3回目の昨年度は11の国と地域から作品が届いた。アンケートに答えた海外社員からは「会社のイベントに参加できてうれしい」「もっと開催を増やして」との反響が寄せられた。

 3回目は、豪州の子会社で現地出身の男性社員が金賞に選ばれた。リンナイ製ヒーターの前で愛犬とまな娘がくつろぐ「冬の朝のぬくもり」だ。広報部長の小川拓也さん(51)が5月、打ち合わせで豪州を訪れた時、この写真が現地幹部との間で話題になり「コミュニケーションにつながった」と感じたという。

 銀賞の写真は、35年前に日本で販売されていたガス火鉢を囲み、餅を焼く冬の家族のだんらん風景。撮影した女性社員は「初めて見た自社製品で感動した」とコメントを添え、社員が製品の歴史に理解を深める機会にもなっている。

 第4回は12月から募集する。「まず社業について考えてもらい、応募が増えていけば」と小川さん。今後、作品を企業広告や社外向け発行物に使うことも考えている。

「熱と暮らし」をテーマにしたコンテストで国内外の社員から寄せられた作品=名古屋市で
「熱と暮らし」をテーマにしたコンテストで国内外の社員から寄せられた作品=名古屋市で