2016/09/10
専業主婦世帯 増税の可能性 「夫婦控除」導入案が軸
政府税制調査会(政府税調)が見直しを議論する配偶者控除は、約1500万世帯が適用を受けている。どういう制度で、どう見直しを考えているのか、まとめた。(桐山純平)
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Q/配偶者控除はどんな制度なの?
A/専業主婦やパートなど、給料が年300万円以下の配偶者がいる世帯主の所得税の負担を軽くする制度のこと。専業主婦世帯なら38万円を課税対象の収入から差し引くことができるんだ。
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Q/ なぜ見直すの?
A/家族の形態が変わり、いろいろな問題が指摘されていることが大きいね。制度が開始された1961年当時は、夫が働き妻が家事や育児に専念する世帯が一般的だった。でも、2015年では専業主婦世帯は687万で、共働き世帯の1114万より少ない。「片働き世帯の優遇」との批判も出ていたよ。
一方で、収入を103万円以内に抑えようと、働きたくても労働時間を少なくする人もいる。配偶者控除には「103万円の壁」があると言われているよ。政府には、税制に左右されず女性が働きたいだけ働くことができる環境を整えたいという考えもあるんだ。
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Q/どのように変えようとしているの?
A/今、浮上しているのは、専業主婦や共働きに関係なく夫婦の収入を対象に一定額を控除する「夫婦控除」という制度だ。具体的な中身は今後の議論だが、すべての夫婦を対象にすると配偶者控除よりも国の税収が減る可能性があるので、所得額を一定の額で線引きして対象者を絞る案もある。共働きで新たに減税になる世帯がある一方、これまで配偶者控除を受けていた専業主婦世帯の中には増税となる家庭もあるだろうね。
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Q/政府の狙い通り、税制を変えることで女性の活躍は進むの?
A/課題は多いよ。女性の労働を阻害しているものに「130万円の壁」というものもあるんだ。年収が130万円以上になると健康保険と厚生年金の負担が出てくるんだ。他にも保育所の整備や夫との勤務地の調整などがあるね。
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