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【愛知】女性活躍、県警も 採用増で働きやすい環境づくり

2016/08/29

 人口減少を迎える中、日本の活力維持に不可欠といわれる「女性の活躍」。男の職場と思われてきた警察官の仕事にも、今や女性の活躍の場が広がっている。「女性にしかできない仕事もある」。県警は近年、女性警察官の採用を増やすとともに、女性が働きやすい環境づくりに力を入れている。

■男性が9割以上

 「県警に入る前にはきつい仕事だと思っていたが、仕事と家庭を両立している人はたくさんいます。ぜひ目指してほしい」

 七月上旬、県警警務課が企画した警察官採用試験のキャリアセミナーで警務課採用センターの女性警察官が語りかけた。

 セミナーの参加者は全員女性。午前と午後の2部制で計約60人が申し込んだ。グループごとに質問を受け付ける場面では、参加者が「刑事って結婚しにくいですか」「夜遅くなることはありますか」「体力的に大変ですか」などと矢継ぎ早に尋ねていた。

 県警警務課によると、県警の警察官は約1万3500人。そのうち男性が9割以上。女性は9・1%だが、近年、女性警察官の比率は上昇傾向だ。2013年は7・9%だったが、毎年約0・4ポイントずつ増えており、県警が目標に掲げている「二一年に10%」の目標は、同年を待たずに達成できる見通し。

■ならではの仕事

 県警が女性の採用に力を入れている背景は、少子高齢化などに伴う採用志望者数の減少傾向に歯止めをかける狙いがある。だが、それ以上に、警察官の現場に、女性の役割が求められている現状がある。

 事件事故の被害者支援、女の容疑者の身体検査や取り調べ、性犯罪の被害者の聞き取りなどは、男性よりも女性が適しているとされる。もちろん白バイやパトカーに乗車する女性もおり、全部門の第一線に女性が配置されている。

 留置管理課や署刑事課、機動捜査隊に所属経験がある警務課採用センターの鈴木祐子警部補は、「刑事は被害者の無念を晴らすという仕事。多くの女性の被害者に会って話を聞いてきた。被害者の気持ちを和らげることができる。一生続けていく仕事だと思う」と胸を張った。

 女性警察官を増やすには、女性が「働きたい」と思える職場づくりが欠かせない。県警は女性専用の宿直室、シャワー室、清潔感のあるトイレの設置など施設面の改善、育児に配慮した時短勤務や自宅から近い職場で、勤務できるように配慮する工夫など、ソフトとハード両面で環境整備を進めている。

 「男性社会のイメージは強いが、女性の必要性が近年高まっている」と県警警務課の担当者。「昔は子どもができたら、辞めるのか働くのか、二者択一を迫られる雰囲気だったが、最近では違う」と続け、「まずは警察官の仕事に興味を持ってもらいたい」と話した。

      ◇

 県警は本年度2回目の採用候補者試験の受験を9月2日まで受け付けている。(問)県警警務課採用センター=052(961)1479

 (梅田歳晴)

女性限定セミナーで女性警察官(左)に話を聞く県警採用試験の受験志望者ら=名古屋市中村区で
女性限定セミナーで女性警察官(左)に話を聞く県警採用試験の受験志望者ら=名古屋市中村区で