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【くらし】親子就活の心得は? 「Uターン」狙うなら

2016/08/10

 大学生の子の就職活動を親が手伝う「親子就活」が増えている。ノウハウや効果を伝授する保護者向けセミナーは、どれも盛況。「社会人になる手伝いまで親がかりとは…」と眉をひそめる向きもあろうが、特にUターン就職では、古里にいる親による地の利を生かした情報収集が役に立つ。

 ◇ ◇ ◇

 「地元の大学生に比べて、Uターン就職は不利ではありませんか?」。福井市の県立図書館で7月に開かれた保護者対象の就活セミナー。長男(22)が、関西にある大学の大学院に通っているという女性がマイクを握り、不安そうに質問した。

 講師を務めた東洋経済新報社編集局メディア編集部の田宮寛之編集委員は「そんなことはありません。歓迎されますよ」と安心させた上で、長男が帰省する際には、地元のジョブカフェなどで情報収集することを勧めた。

 女性が長男の就活を手伝おうと思ったのは、長女(26)の就活時の経験がきっかけ。長女は地元の大学で学び、地元就職を希望していたので、「簡単に就職先が決まるだろうと思い、私は何もしなかった」。でも就職先がなかなか決まらず、希望していなかった会社に入らざるを得なかった。

 今回は、長男と無料通信アプリLINE(ライン)でやりとりして入りたい会社を聞き出した。「希望企業に入社できるように手伝いたい」

 富山県に住む女性(46)は、愛知県の大学で学ぶ長女(21)からUターン就職を考えていると聞き、活動開始。希望する職場に勤める知人に仕事の内容などを聞き、長女に伝えた。「こちらでは、親が人のつてで情報が得られる場合がある。地元に帰ろうと思ってくれたことがうれしくて、自分にできることはやろうと思った」と、親子就活の効果を期待する。

 親子就活の流行に、Uターン就職者の増加を目指す自治体も乗っかろうとしている。保護者向けセミナーを開催したふくいジョブカフェ(福井県若者就職支援センター)の宮越広美センター長は「学生に最も影響を与えるのは保護者。保護者から地元企業の良さを伝えてほしい」と話す。

◆「自分の時と違う社会」の意識を

 「親子で勝つ就活」(東洋経済新報社)などの著書がある田宮寛之さんによると、保護者が就活に熱心にかかわるようになったのは、リーマン・ショック後の2009年ごろから。雇用情勢が急激に悪化し、新卒の就職も難しくなったためという。

 田宮さんは保護者向けの講演で、「親がやってはいけないこと」「親がやるべきこと」を呼び掛けている=表参照。親は自分の就職時と同じ意識でアドバイスしがちだが、まず企業や社会の環境が大きく変わっていることを知り、就職活動がうまく進まない場合でも子を追い詰める言葉は禁物と話す。

 田宮さんは「就活は子育ての最終決戦。保護者は、子にとって意義のある支援をしてあげてほしい」と勧める。

 (稲熊美樹)

親子就活の心得は? 「Uターン」狙うなら
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