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【地域経済】技術者原点は夏の工作 講演のトヨタ・伊勢専務役員

2016/07/21

吹上ホール 7月27、28日「未来展」

 企業や大学が最新技術を紹介する「未来展2016」(中部産業連盟、中日新聞社主催)が27、28の両日、名古屋市千種区の吹上ホールで開かれる。近年はものづくりの楽しさを伝える子ども向けイベントが充実。「トヨタが考えるクルマの未来」の題で講演するトヨタ自動車の伊勢清貴専務役員が、開幕を前に先進技術を統括する立場から仕事の魅力を語った。(聞き手・宮本隆彦)

 ◇ ◇ ◇

 -技術者の仕事とは。

 「『こんなモノがほしい』という人間の欲求を形にすること。例えば月に人を送るという目標を定めたら、そのために必要な技術をリストアップして取り組む。ちょっと無理かなと思えても人間は意外と何とかしてしまう。原点は、夏休みの工作がちょっとした工夫でうまくできた時のうれしさ、そういう気持ちだ」

 -未来のクルマの姿は。

 「今の車は一人しか乗らなくても大きな車体で無駄が多い。車同士が絶対ぶつからない仕組みができれば、もっと小さい一人乗りでよくなる。電池が高性能で小型になれば、おもちゃの車が乾電池を交換するみたいにガソリンスタンドで充電済みの電池を交換すればいい。そんな未来のクルマを描いた子がいて、柔軟な発想に感心しました」

 -トヨタは自動運転の開発拠点を米国に設けた。中部地方の自動車産業が空洞化しないか。

 「米国の開発拠点トヨタ・リサーチ・インスティテュートが担うのは人工知能のソフト作成。それを車というハードに組み込む拠点は日本にある。わずかな不良が事故に直結する自動車造りには、この地方が長年培った経験が必要だ」

 -航空産業が自動車生産の手法に学ぶ動きがある。

 「部品点数が多く裾野が広い自動車産業の技術を他産業に生かすのは良いこと。これまで自動車向けに造ってきた部品メーカーが新たな受注を確保する好機にもなる」

 ◇ 

 「未来展」は、ロボット、モビリティ、環境、ITなど各分野の企業や研究機関など30団体が参加。伊勢専務役員は28日午前10時半から講演する。27日には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)で小惑星探査機「はやぶさ2」のプロジェクトを担当する津田雄一さん、スペースデブリ(宇宙ごみ)の問題に取り組む山崎泰教さんらの講演がある。入場無料。

技術者としてものづくりの魅力を語るトヨタ自動車の伊勢清貴専務役員=名古屋市中村区で
技術者としてものづくりの魅力を語るトヨタ自動車の伊勢清貴専務役員=名古屋市中村区で