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【暮らし】<変わる主婦の働き方> 「106万円の壁」Q&A

2016/07/18

 10月からパート主婦らに適用が拡大される社会保険。月収8万8000円(年収約106万円)以上で、勤務先の従業員が501人以上などの条件を満たすと、パート先の厚生年金と健康保険に加入し、保険料を納めなくてはならなくなる。4日付生活面で制度を紹介したところ、読者から多くの疑問が寄せられた。今回は質問や悩みに回答する。

 ◇ ◇ ◇

◆給付カットの可能性
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<Q1> 年金もらいながらパート。今後どうなる?
 年金をもらいながらパート勤めをしています。10月からどうなるのでしょうか。=三重県の女性(68)
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 年齢による加入対象は厚生年金が70歳未満で、健康保険が75歳未満。68歳の女性は対象になります。そこで影響するのが働き方。収入に関係なく、週におおむね30時間以上働けば、社会保険に入るのが原則。原則に当てはまらなくても、月収8万8000円以上などの条件を満たせば対象になります。年金受給者も適用されます。

 ただ年金受給者が、厚生年金に加入して保険料を納めていると、年金が減額される「在職停止」に該当する可能性があります。減額の基準は65歳未満なら月収と厚生年金月額の合計が28万円超、65歳以上なら47万円超。女性は47万円超で年金が減らされます。

 厚生年金の加入期間が44年以上ある「長期加入者」は、65歳になる前に年金を月額10万円ほど多くもらえる特例がありますが、やはり厚生年金保険料を納めていると特例の対象外になります。

◆妻の負担軽くなるケースも
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<Q2> 夫は既に退職。10月から手取り減?
 夫が既に定年退職しています。今の働き方を続け、10月から勤め先の社会保険に加入した場合、手取りが減るのでしょうか。=愛知県のパート主婦(57)
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 夫がサラリーマンの主婦が新たに社会保険に入ると、保険料を支払わなければならなくなり手取りが減ります。しかし女性は負担が軽くなる可能性も。夫が60代で定年退職しているため、夫婦で国民健康保険(国保)に加入し、女性は60歳未満なので国民年金に加入しているためです。

 国民年金の保険料が月額1万6000円ほどなのに対し、厚生年金の保険料は十月からの基準となる月収8万8000円で計算すると月額八千円ほど。パート収入が多くなければ厚生年金の保険料の方が安くなります。国民年金と違って、保険料を納めた分だけ年金に上乗せされるメリットもあります。

 一方の国保。一人当たり平均月額は7000円ほど(2014年度)。パート先の健康保険に入れば月額約5000円(月収8万8000円で計算)と、こちらも安くなるかもしれません。

◆年収計130万円以上なら注意
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<Q3> 2社で勤務中。合算で加入義務?
 2社で働いていますが、月収の合計が8万8000円を超えた場合に社会保険に加入するのでしょうか。=愛知県の主婦
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 2カ所以上のパートを掛け持ちしていても、月収8万8000円以下の勤務先ばかりだと、加入の義務はありません。しかし一カ所でも超えていれば、その勤務先の厚生年金と健康保険に入ります。2カ所とも超えた場合は、月収の合計額に応じて保険料が算出されます。

 ただ、各勤務先とも月収が8万8000円未満でも、年収が合計で130万円に達する人は注意が必要です。このケースでは、勤務先の厚生年金と健康保険ではなく、国民年金と国保に入ることになり、保険料負担が発生します。

 (諏訪慧)