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【くらし】再雇用の賃金 75%未満なら給付金

2016/07/07

 いまや60歳を過ぎても働くことが普通になりました。多くの企業で、60歳でいったん定年退職となり、再雇用で65歳まで働くようになっています。60歳で契約を見直し、それに応じて賃金の見直しなどをするためです。

 しかし、見直して賃金が下がると、働く意欲がそがれかねません。そんな理由で離職するのを避けるための制度が、雇用保険の高年齢雇用継続基本給付金です。

 この支給期間は60歳から65歳の誕生月。受給条件は2つです。まずは60歳の誕生日より前に、雇用保険の加入期間が5年以上あること。5年なくても65歳までに5年に達すれば、それ以降が支給対象期間になります。

 次は、賃金が60歳になる前よりも60歳以降が低いこと。60歳より前の賃金とは、60歳になる直前六カ月の月給の平均が基準です。これと比較して、60歳以降の賃金が75%未満なら対象となります。

 もらえる額は、60歳以降の月収が60歳以前の基準賃金の61%未満だと、60歳以降の月収の15%。61%以上75%未満の場合は、15%から徐々に減り、75%に近づくとわずかになります。

 そもそも企業が60歳で賃金を見直すのは、賃金が多いと老齢厚生年金が減額されたり、支給停止されたりするのを調整するためでした。しかし、老齢厚生年金の支給開始は徐々に引き上げられ、原則60歳からはもらえません。

 さらに、この給付金がもらえるのを理由に、労働時間や仕事内容は以前と変わらないのに60歳で賃金を下げる企業もあります。

 年金や高齢者をめぐる労働環境は大きく変わっています。この給付金の意義を考え直す時期にきているのかもしれません。