2016/06/12
首都圏から移住促進 苦戦
首都圏から愛知県への移住やUターン、Iターン就職を促すため、昨年9月に開設された県の「地域しごと支援センター」が苦戦中だ。東京駅近くに設けた「東京センター」は半年あまりで閉鎖。当初は地方創生関連の交付金が充てられたが、認められなくなったという。名古屋駅前にある「愛知センター」から職員が出張する形で補う考えだが、実績はいまだゼロだ。 (奥田哲平)
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先月28日、東京駅近くで開かれた本年度初の合同企業説明会。県内に本社を置く製造業や飲食業など6社に対し、参加したのはわずか12人。県就業促進課は「就活が始まった時期で、参加企業が少ないため別のセミナーを優先させたのかもしれない」と原因を分析するが、物足りなさは否めない。
支援センターは、東京一極集中を是正するため、地方への人口還流を目指して国が地方創生関連交付金メニューとして打ち出した。県は人材派遣会社「パソナ」に約5千400万円で運営を委託し、昨年9月に東京駅前と名古屋駅前の2カ所に開設した。
専用ホームページ「愛知仕事楽座」や就職セミナーなどを通じて、首都圏の大学生や転職希望者らに地元企業の求人や生活情報を提供している。
パソナ本社内にあった東京センターでは、スタッフが大学を訪問し、県内企業へのUターンやIターン就職を考えている社会人や大学生の相談に乗っていた。だが、国の方針が変わり、地方創生の交付金が充てられなくなった。
内閣府の担当者は、総務省が昨年3月に開設した「移住・交流情報ガーデン」と業務が重なるため、「役割分担の観点から、東京でのセンター拠点には国庫を当てられない」と話す。
閉鎖を受け、県は4月から毎週金曜日と毎月第1、第3、第5土曜に愛知センター職員が出張し、来場者の相談に乗る形にした。
県就業促進課の担当者は「東京に拠点がないからといって影響はない。工夫することで大学訪問や登録者のフォローをしていきたい」という。
登録している求職者(5月末時点)は、約400人。94件の求人があるが、いまだ就職に結び付いた実績はない。
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