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【社会】正社員登用厳しく「やむを得ず非正規」18%

2016/04/13

 労働者全体のうち契約や派遣社員など非正規で働く人の割合は、2014年に戦後で最も高い37・4%に達した。1990年代のバブル崩壊後の就職氷河期や08年のリーマン・ショックによる人員削減などが響き、非正規から正社員への登用も厳しい状況が続いている。

 大卒の求人倍率が1・00を割った00年の新卒者で、民間企業への就職を希望した学生は約41万2300人。これに対し約40万7800人の求人があったが、少ない内定の奪い合いで職種や待遇などの条件が合わず、非正規の道を選んだ新卒者が多かったとみられている。

 非正規で働きながら就活に再チャレンジする若者も多かったが、求人は飛躍的には改善されていない。総務省の調査では、14年の非正規労働者数は全国で約1960万人。うち、やむを得ず非正規で働いている「不本意非正規」は、5人に1人の割合に近い18・1%を占めた。

 これとは別に厚生労働省が従業員5人以上の事業所などを対象に実施した14年の調査によると、労働人口に占める非正規の割合が1987年の調査開始後、初めて4割を突破した。

 事態を重視した厚労省は今年1月、「正社員転換・待遇改善実現プラン」を策定し、本年度からの5カ年計画でスタートさせた。「雇用の質を高め、将来に希望を持って働いてもらう」とし、非正規に占める不本意の割合を10%以下に抑える目標を掲げている。

 ただ、識者の中には実効性を疑問視する声もある。プランには、非正規を正社員に登用した企業への「キャリアアップ助成金」の周知などが盛り込まれたが、龍谷大法学部の脇田滋教授(労働法)は「根本的な解決策にはなっていない。正社員化を促すための具体的な制度づくりを進めるべきだ」と国に求める。

 一橋大経済研究所の小塩隆士教授(経済制度)は「雇用環境が上向いている今をチャンスと捉え、ゆがみをなくそうとする姿勢は評価できる」としつつ、「従来の取り組みから抜け出していない」と話した。

 厚労省は18年度にプランの達成状況を確認し、目標の見直しなどを検討する方針。各都道府県の労働局も地域別の改善計画をまとめており、各局のホームページで閲覧できる。