中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】長時間労働 規制強化へ 政府、残業の上限設定検討

2016/03/24

 政府は23日、労働基準法で定められた週40時間を超えて働く人の時間外労働(残業)に関し、規制を強化する検討に入った。例外として長時間の残業を容認している「特別条項」に上限を設ける案が浮上している。

 労基法では、残業が一定時間を超える場合、この制度を使って例外的に労使で独自に上限を決めることができるが、国が定める上限はなく、無制限な働き方を助長しているとの批判がある。政府は「一億総活躍社会」の柱として働き方改革を進める方針だ。

 長時間労働への歯止めが期待できる一方、経済界は企業活動に影響を与えるとして反発するのは必至で実現には曲折が予想される。

 現在の労基法では、残業は労使協定(三六協定)を結べば可能となる。週の所定内労働時間が40時間を超える場合に締結して労働基準監督署に届ける必要があり、残業は月45時間、年360時間まで厚生労働相が定める「大臣告示」で認められている。これを超えることが予想される場合、具体的な仕事の状況や対象者を明確にするなどした特別条項を付けて「月100時間」などと労基署に届けることが義務付けられている。

 見直しでは、特別条項に対し、国が上限時間を設けることや、1年間で適用できる月数を制限することなどを検討。大臣告示で認めている月45時間の制限時間を減らすことも浮上している。政府は制度見直しのほか、労基署による監督強化も進める方針だが、与党内では「特別条項廃止が必要だ」との声も出ている。

 政府は5月にまとめる一億総活躍プランに見直しの方向性を盛り込み、非正規労働者の待遇を改善する「同一労働同一賃金」とともに同プランの柱としたい考えだ。

 2013年に厚労省が全国約1万1100事業所を対象にした調査では、40・5%が特別条項を付け、うち15%で年間の残業時間を800時間超に設定している。