2016/02/09
厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、物価の影響を考慮した2015年の実質賃金は前年比0・9%減で、4年連続のマイナスとなった。一方、働く人1人当たりの現金給与総額(名目賃金)は月平均31万3856円で0・1%増。物価の上昇が先行し、これに賃金増が追いついていない現状が浮き彫りとなった。(山口哲人)
大手企業を中心に15年春闘ではベースアップと定期昇給で2%超の賃上げが実現した。しかし、現金給与総額の伸び率が低く抑えられた理由は「給与水準の低いパート労働者が増えて平均賃金を押し下げた」(厚労省の担当者)ためだ。
正規を中心とした労働者の現金給与総額が月40万8416円だったのに対し、パート労働者は9万7818円にとどまり、賃金格差は大きい。しかも労働者全体に占めるパート労働者の比率は年々上昇しており、15年は前年比0・64ポイント増の30・46%と過去最高に達した。企業側が人件費の高い正社員の雇用を敬遠し、低賃金のパートを含む非正規社員を増やした結果、賃金全体の伸び率が春闘の結果より大幅に少なくなった。
またボーナスを中心とする「特別に支払われた給与」も5万4558円と前年比で0・8%減で3年ぶりに減少に転じた。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は「海外からの配当増加や原油安によって企業収益は大幅に改善した。それでも賃上げが限定的で、企業が内部留保としてため込んでいるのは、好況が続くか企業側が慎重な見方だからだろう」と指摘している。
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