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【愛知】最低賃金・労働時間・社保加入 元請けに報告制導入へ

2016/01/27

愛知県が確認シート

 愛知県は、県が発注する公共工事や業務委託契約で働く労働者に、法定最低賃金を上回る賃金が支払われたか、元請け企業に報告させる「チェックシート制度」を、都道府県で初めて導入する。2月下旬に開会を予定する県議会定例会に提案する「公契約条例案」に盛り込み、4月の施行を目指す。シートでの報告や立ち入り調査を拒否すれば、元請けを指名停止にする。

 対象は、予定価格が6億円以上の公共工事や1000万円以上の業務委託契約。チェックシートには、1時間あたりの賃金単価や労働時間、社会保険の加入状況などを記入し、元請けは、すべての下請け分を取りまとめて報告する。

 労働者からの通報制度も設ける。シートの報告と実態が異なっていた場合、県は立ち入り調査し、是正を求める。従わなかった場合は指名停止にする。

 条例案には、環境問題や障害者雇用、男女共同参画などに意欲的な企業は、入札などで評価することも取り入れた。

 公契約条例は、労働者保護の観点から労働団体が制定を求め、県は2013年に外部有識者らによる検討会議を設置。建設業界などとも内容を調整していた。最低賃金を上回る「作業報酬下限額」を定めるかが、焦点の一つだったが、業界側は労務管理の負担が増すことを懸念し、「報酬は労使が決めるべきだ」と譲らなかった。県は、報酬下限額は見送ったが、チェックシート制度の導入で労働者保護は可能と判断した。

 予定価格を大きく下回る価格で落札する「ダンピング受注」が賃金底上げの妨げになっているとの意見も多く、県は4月から、低入札対策も強化する。