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【社会】女性総合職1期8割退職 均等法30年育児支援遅れる

2016/01/24

 採用や昇進などの女性差別解消を目指す男女雇用機会均等法が施行された1986年に大手企業に入社した女性総合職のうち、昨年10月時点で約80%が退職していたことが、共同通信の調査で分かった。各業界の主要な企業計約100社に実施したアンケートに回答した28社の約1000人分のデータを分析した。

 ◇ ◇ ◇

 均等法施行からことし4月で30年。法施行で企業は基幹業務を担い幹部候補生である総合職で大卒女性の採用を始めた。しかし長時間労働などの慣習は変わらず、育児と仕事の両立支援も遅れたため、現在50代前半の1期生の多くが職場に定着できなかった。安倍政権は女性の活躍推進を目玉政策にしているが、働き続けるための環境整備は依然大きな課題だ。

 調査では、その後の世代の動向も聞いた。改正法が施行され、採用差別禁止が企業の努力義務から義務になった99年採用の女性総合職(40歳前後)は計903人で、74%が退職。転勤経験などで昇進に差をつける間接差別が禁じられた2007年採用(30代前半)は1783人のうち、42%が退職した。育児に関する法整備などが進んだが、退職率は依然高い。

 アンケートは昨年11月、女性採用などをテーマに実施した。約100社のうち86年に女性総合職を採用し、その在籍状況を回答したのは電機、食品、流通など計28社。

 86年の採用は28社合計で1003人。昨年10月1日の在籍者は212人で、採用者の21%だった。全員辞めた例や9割超が退職した企業がある一方、全員が働き続けている企業もあり、ばらつきが大きい。業種による特徴は見られなかった。

 均等法の施行前は男女別採用が行われ主に男性が基幹的業務を担い、女性は補助的な仕事をした。法施行で多くの企業は主要業務を担う総合職と補助的な業務をする一般職に分ける制度を導入。大卒女性は当初は一般職採用が多かったものの、総合職への道も開けた。

【アンケート回答企業】

 いすゞ自動車、SMBC日興証券、NEC、王子ホールディングス、大阪ガス、オリックス、花王、川崎重工業、京セラ、キリンビール、コマツ、サントリーホールディングス、シャープ、住友化学、積水ハウス、大日本印刷、武田薬品工業、デンソー、日本ガイシ、日本ハム、日本マクドナルド、パソナグループ、富士フイルムホールディングス、三越伊勢丹ホールディングス、三菱重工業、ヤマト運輸、ユニ・チャーム、リコー