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【社会】派遣の48%マタハラ被害 正社員21%と大差

2015/11/12

厚労省が初調査

 妊娠・出産を理由に職場で不当な扱いを受ける「マタニティーハラスメント(マタハラ)」について、厚生労働省が女性を対象に行った初の実態調査で、妊娠・出産した派遣社員の48%が「マタハラを経験したことがある」と回答したことが、分かった。正社員では21%だった。

 調査は、厚労省の委託を受けた労働政策研究・研修機構が9~10月に、25~44歳で就業経験がある女性を対象に実施し、約3500人から回答があった。

 特に雇用が不安定で立場の弱い派遣社員が被害に遭う割合が高かった。マタハラを経験したと答えた人のうち、派遣社員の27%が「妊娠を理由とした契約打ち切りや労働者の交代」を経験していた。正社員などを含め、解雇されたとの回答が20%に達するなど、深刻な被害実態が浮かび上がった。

 「一億総活躍」を掲げ、出産や育児と、就業を両立しやすい社会の実現を目指す安倍政権にとって、マタハラ根絶に向けた抜本的な対策が急務となる。

 マタハラの被害経験率は契約社員では13%、パートタイマーでは5%だった。

 マタハラを受けた人に複数回答で内容を尋ねると、上司などから「迷惑だ」「辞めたら」といった嫌がらせの発言を受けたケースが一番多く、47%が経験していた。

 解雇のほかに、15%が「退職強要や非正規への転換強要をされた」と答えた。

 誰からマタハラを受けたかを尋ねると、「直属の男性上司」が最多で19%、「直属の女性上司」11%。「同僚、部下」では男性5%、女性9%で、女性の方が多かった。

 厚労省は企業のマタハラ防止策を強化するため男女雇用機会均等法の改正を検討中で、調査結果を反映させる考え。また育児・介護休業法も改正し、派遣社員が育休を取りやすくなるよう、取得要件を緩和する方針だ。