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【社会】派遣 人代えれば無期限 改正法、懸念残し成立

2015/09/12

 働く人を交代させれば企業が派遣労働者を使い続けられるようにする改正労働者派遣法は11日、衆院本会議で採決され、自民、公明両党などの賛成多数で可決、成立した。企業の自由度が増す一方、派遣で働き続けざるを得ない「一生派遣」になる恐れがある。施行日を1日から30日に修正して遅らせたが、周知期間が短いため、現場に混乱が起きる懸念もある。

 自公のほか次世代の党が賛成。民主、維新、共産、生活、社民の各党は反対した。

 採決前の討論で山井和則氏(民主)は「改正案は正社員になりにくくなり、一生派遣の若者が増える。女性に多い専門業務は3年で雇い止めになる。安倍晋三首相の政治は弱い者いじめだ」と批判。高橋千鶴子氏(共産)は「派遣労働を恒久化させておきながら、わずかな可能性にすぎない雇用安定措置などをもって、派遣労働者の保護を語る資格はない」と指摘した。

 改正法は、現在最長3年となっている同じ職場で派遣を受け入れられる期間の制限をなくす。そのため、企業は人を入れ替え、労働組合の意見を聞く手続きをすれば派遣を使い続けられる。派遣会社が正社員などで雇用する「無期雇用」の派遣受け入れの場合は手続き不要とした。

 業務区分もなくすため、専門業務も最長3年しか働けなくなる。長く働く女性が多い通訳など専門26業務を雇い止めに追い込みかねず、救済制度の適用もなくすなど労働者に不利になる。

 政府は雇用安定策として、派遣会社を許可制に統一、法違反などに許可の取り消しなどで対応し、悪質業者を締め出す。派遣会社に対し、勤務が3年を迎えた人の受け入れ企業への直接雇用の依頼や、別の派遣先の紹介などを義務付けるが、強制力はない。