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【経済】就活繰り下げ見直し検討 長期化批判で 経団連、実態調査へ

2015/09/08

 経団連が大学生の採用指針を11月にも再び見直す方針を固めたことが7日、分かった。ことしから面接の解禁を8月に繰り下げたが、就職活動の長期化や混乱につながり学生、企業から批判が高まっているためだ。会員企業や大学への聞き取りを10月に行い実態を把握する。榊原定征会長が同日の記者会見で明らかにした。

 採用活動の変更は学業優先を盛り込んだ政府の成長戦略に沿った措置だったが、スタートからつまずいた。経団連は方針決定後に見直しに向けた政府との調整に入る。2016年の採用活動は一部修正にとどまり、会社説明会を含めた抜本的な見直しは17年以降となりそうだ。

 榊原会長は会見で「いろいろな方が問題点を指摘している。調査して継続するかどうか対応を決めたい」と述べた。4月に面接を解禁する従来の日程に戻すことも「選択肢だ」と説明した。

 政府は13年に面接の解禁時期を大学4年の4月1日から8月1日へ繰り下げることを盛り込んだ成長戦略を閣議決定した。経団連は「採用選考に関する指針」を発表した。会社説明会も従来の大学3年の12月から翌年の3月に変更した。

 就職活動が早く始まると学生が学業の時間を十分に確保できないとして4カ月遅く面接が設定されたが、企業と学生の間でかえって不安が募り、活動期間が長期化し、双方の負担が増した。

 ことしは一部の大手企業が解禁前から実質的な選考を進めているとされ、中小企業を抱える日本商工会議所の三村明夫会頭が「(指針通りに)まじめにやったところが損をする」と経済界からも不満が出ていた。

 榊原氏は「企業の足並みがそろっていない」と問題点を認めた上で、「プラスの面もある。早い時期に今後の方向性を出していきたい」と検討を急ぐ考えを示した。

 16年の解禁時期については、すでに企業や学生の準備も進んでいるとして「何らかの改善を施すことは可能だと思うが、大幅に変えるのは難しい」と説明した。