2015/09/02
就活繰り下げと中小企業
県内の中小企業が、2016年春に卒業する学生を対象にした採用活動で苦戦している。大手企業の多くが、内定を出す選考解禁時期を4カ月繰り下げて8月としたあおりで、採用スケジュールに影響が出ているためだ。
岐阜市内で8月18日にあった合同企業説明会。昨年とほぼ同じ県内36社が参加し、採用担当者が学生らに企業の魅力を紹介した。ただ出席した学生らは、例年のこの時期より3割少ない124人。大手企業が選考を進める時期と重なったことも要因とみられる。この状況に、県内の精密機械メーカーの人事担当者は「学生と出会う機会をなかなか持てない。採用活動の長期戦を覚悟している」とため息をついた。
経団連は、大学側からの学業優先の申し入れを受けて、今年から面接などの選考活動解禁を大学4年の4月1日から8月1日にずらすなど採用日程ルールを変更した。中小企業は例年、大手に遅れて6~8月ごろに選考を本格化させてきたが、大手に合わせて4カ月ずらすことは採用日程的に困難なため、今年は大手の選考活動と時期が重複した。
変更はあくまで経団連の指針にすぎないため、大手に先駆けて学生を確保しようと例年より前倒しで内定や内々定を出す動きもあった。6月から選考を始めたという県内の窯業会社の人事担当者は「8月以降に大手に流れることがないよう、確実に入社してくれそうな学生をつなぎ留めて、8月に内定を出した」と明かす。
県総合人材チャレンジセンターの調べでは、センターに求人情報を提供する800社のうち、約200社が8月以前に選考活動を開始した。一方で、採用時期を早めたものの、大手が選考を進める8月以降に内定辞退が相次いだため選考を再開した企業も、学生からの人気が比較的低いとされる製造業などで見られるという。
同センターの瀬戸口貞信運営マネジャー(43)は「夏までは新入社員の研修などで忙しく、すんなり採用活動の時期をずらせない企業も多い。来年も同じ日程で採用活動が行われることになれば、そうした企業はますます学生の確保に苦しむのでは」と見る。 (宮崎正嗣)
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