中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【地域経済】黒字なら就業5分短縮 福井の会社 決算ごと最大45分

2015/08/15

 通期決算が黒字なら、社員の就業時間を5分ずつ短くするという方針を、靴のインターネット販売を手掛ける「ザカモア」(福井県坂井市)が打ち出した。2015年7月期決算が七期連続の黒字になることがはっきりしたため、早速8月から短縮し、社員のやる気を引き出している。(福井報道部・高橋雅人)

 当初の就業時間の8時間は五分縮まり、7時間55分に。社員9人の小さな会社だが、発案した西村拓朗社長(27)は「働く時間が短いのは、社の大きな武器になる」と説明する。

 社員アンケートでは、ほとんどの社員が早い時間の退社を希望していた。たった五分の短縮でも効果は大きい。就業時間が8時間を超えると、労働基準法で昼の休憩時間を一時間、確保する必要があるが、8時間を切ったことで社員と話し合い、45分に短くできた。さらに出社時間を30分早めることで、退社時間は合わせて50分早まり、午後5時10分になった。

 強い夏の西日を浴びながらの退社に「買い物して帰って、夕食の準備をするにはすごく都合がいい」と、入社2年目の坂口一恵さん(47)は喜ぶ。西村社長は、今後も黒字なら、就業時間を7時間15分になるまで短縮していく方針。

 ヒントになったのは、残業なし、年間休日百40日など型破りな経営で知られる未来工業(岐阜県輪之内町)の創業者山田昭男氏(故人)。「勤務時間が7時間15分だから、会社がもうかる」というテレビ番組での山田氏の言葉に「うちでもできるはず」と刺激を受けた。

 短縮は変化をもたらしている。社員が書く日報には「仕事を効率化できるよう、工夫していきたい」という意気込みも出てきた。

 これまで社員は全員、中途採用だったが、17年春には初の新卒採用を予定する。別会社の人事担当からは「福井ではなかった取り組み。今の学生は残業を気にするので、注目されるのでは」と評価の声が出ている。