中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【地域経済】職場発 うちの秘策/名古屋銀行 学生の社会教育貢献

2015/08/06

大学と連携、本業に生かす

 名古屋銀行(名古屋市)は、愛知県内の六大学と連携協定を結ぶなど、大学との関係強化に力を入れている。授業に行員を派遣したり、銀行の店頭で学生に顧客を案内させたりして、社会教育を支援。社会貢献活動にとどまらず、学生の意見をサービス改善につなげるなど本業にも生かしている。(稲田雅文)

 「アイデアは良いけれど、コストがかかりすぎるのではないかな」。アルコール飲料の売り上げを増やす方法について議論をしていた南山大経営学部の石垣智徳教授のゼミ。名古屋銀チャネル戦略グループ課長の中村清司さん(46)が、社会人ならではの視点で助言した。

 名古屋銀の行員が南山大のビジネススクールに通っていた縁で関係が深まり、社会貢献の一環として中村さんが2012年度から石垣教授のゼミに参加するようになった。ゼミでの助言が主な活動だが、石垣教授は「教科書を読むだけではすんなりとのみ込めないことも、現場を知る中村さんの解説があると具体的に理解できる」と、社会人が参加するメリットを話す。

 大学との交流が本業にも生きた。中村さんは、15年1月に開始した新インターネットバンキングサービスの立ち上げも担当。開発の段階から学生の意見を取り入れ、操作性の向上などにつなげた。

 13年度から続ける愛知大との連携では、学生に2カ月間、有償で現金自動預払機(ATM)コーナーでの接客を担ってもらう就業体験の場を提供。これらの活動が発展し、15年2月には、愛知県内の愛知、愛知淑徳、中京、名古屋学院、南山、名城の六大学との新たな連携協定締結につながった。中村さんの取り組みを発展させ、ネットバンキングのサービス改善を考える企画体験や、就業体験などで一五年度は計700人の学生を受け入れる。

 中村昌弘頭取は「5年、10年後のビジネスモデルを考えたとき、若い世代の顧客をどう増やすかは重要な経営課題。銀行のブランド力の向上にもつなげたい」と話している。

南山大のゼミで学生に助言する名古屋銀行の中村清司さん(中央)=名古屋市昭和区で
南山大のゼミで学生に助言する名古屋銀行の中村清司さん(中央)=名古屋市昭和区で