2015/05/17
医療事故の予防を目指し、名古屋大医学部とトヨタ自動車による異色のコラボが実現する。名大病院医療の質・安全管理部の安田あゆ子副部長(43)=写真=は「トヨタの改善の目線が病院組織を変える」と強調する。(柚木まり)
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医師でもある安田副部長によると、生産工程で異常を発見した際すぐに止まり、不良品がどの工程で出たか明確にするトヨタの品質管理は、すでに欧米で広く医療に応用されているという。一方で「何か問題が起こったときに病院が組織としてどう振る舞い、責任を果たすのか。原因を突き止めなくてはいけないのに、国内の医療機関でそのシステムができていない」と指摘する。
名大病院では、数年前から手術物品の紛失など報告に基づいてデータを取り始めたところ、人の入れ替わりが多い4月にミスが増えることが分かった。このため「集中力に影響するのかもしれないと予測し、タイミングを計って現場に注意を促すなど、予防的な介入にもつながっている」という。
全国の病院に安全管理部が設置されつつあるが、安田副部長は「治療経験の豊富な医師が主導することはほとんどなく、教育の場もないのが現状」と説明する。特に多くの病院で、本来なら治療し救命できた患者の割合を把握していない実態を問題視。「『病院にとって不利になる』と言う人もいるかもしれないが、確実な数字を基に問題をきちんと検証できる体制をつくるべきだ」と訴える。
「手術がうまい医師を『神の手』ともてはやす風潮があるが、技術に差があっても、安全に治療を行える病院こそ評価されるべきだ」と安田副部長。
「トヨタとの連携でできるプログラムは、神の手がいなくても患者の満足度が高い医療を提供できる病院をつくるためにある」
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