中日新聞CHUNICHI WEB

就職・転職ニュース

  • 無料会員登録
  • マイページ

【社会】「残業代ゼロ」制度 労使の溝埋まらず

2015/01/30

厚労省審議会

 働く時間ではなく成果で評価する「残業代ゼロ」制度を検討している厚生労働省の審議会分科会は29日、制度の概要をまとめた報告書骨子案の取りまとめを目指したが、労使の合意に至らず持ち越した。長時間労働の助長を懸念し、対象者拡大を抑えたい労働側と、柔軟な働き方の拡大を求める経営側との溝は埋まらなかったためだ。

 骨子案によると、新制度の名称は「高度プロフェッショナル労働制」。年収1075万円以上の高度な職業能力を持つ人が対象で、金融商品の開発やアナリストなどの職種を想定している。安倍政権が進める成長戦略の柱の一つだ。

 労働時間の規制を外す初の制度になるため、労働側は残業代なしで長時間労働を強いられかねないとの立場。この日も「疑問は解消していない。法定労働時間の規制を外す制度は必要ない」と重ねて主張。導入を促す経営側は「働き方の多様化に対応した選択肢を設けることが必要だ」と必要性を強調した。

 厚労省は次回分科会の2月2日開催を提案したが、労使双方が「議論が尽くされておらず拙速だ」と反発。さらにずれ込むことは確実だ。厚労省は、今国会に関連法案を提出する方針は変えていない。 (鈴木穣)