2014/01/26
育児に配慮、経済的にも好評
会社内の部局で夜に開くことの多い懇親会。公式なコミュニケーションの場でもあるが、最近は昼食を兼ねて集まる〝部ランチ〟が増えている。子育て中などで夜の会合への参加が難しい女性の就労率が上昇していることが、背景にあるようだ。 (安食美智子)
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「育児中の仕事は効率が大事。夜の会合が続いて社員に負担が増えてはいけない」。こう語るのはサントリー(東京都港区)CSR推進部の川井恵美子課長。
川井さんの部署では、半数が小さな子どもの母親で、時短勤務の社員もいる。「全員が集まった方がいい」と、年4回程度の懇親会をなるべく昼に開催するようにしている。
同社は「ワークライフバランス」推進のため、時間と場所の制約を取り払い、より柔軟に働ける環境として2010年、社員が自宅や社外から社内ネットワークにアクセスし、仕事ができる制度(テレワーク)を拡大。川井さんは「仕事に関して討議する以外、直接顔を合わせてコミュニケーションをとる必要性が高まっている」と説明する。
女性社員が四割を占め、子育て中の社員も増加している調査会社マクロミル(東京都港区)。中途入社の社員の初出社日に「ウエルカムランチ」を開くなど、昼の時間帯の懇親会が増えてきているという。同社マーケティングリサーチ事業本部の原申(はらしん)さん(34)は「部ランチは全社的なテーマ『女性の働きやすい環境づくり』の一環。懇親会は自己負担だが、ランチなら手頃な値段でおいしい物を食べられるのも魅力の一つ」と話す。
同社が昨年10月、全国20~40歳代のフルタイム勤務者約2000人を対象にしたインターネット調査では、過去1年間に部ランチがあった人は33・7%で、夜の懇親会(85・7%)に比べると、まだ少ない。
しかし、全体の約8割が夜の懇親会に「何らかの不満がある」と回答。その理由(複数回答)として「翌日に疲れが残る」(51%)「プライベートの時間が削られる」(50・3%)「お金がかかる」(50%)などが挙げられた。夜の会を欠席した人の6割超が、12歳以下の子を持つ女性だった。
その一方で「夜に飲みながらの方が、腹を割って話せる」「男性の育児参加が進んでいない表れ。女性も夫に預けるなどして、夜の行事に参加するのがいい」など、夜の懇親会を支持する意見もあった。
グルメ情報サイト「ホットペッパーグルメ」などを運営するリクルートライフスタイル(東京都千代田区)によると、同サイトで「昼」「忘年会」などのキーワードでの検索数が、昨年は前年の1・5倍に増えたという。昼時間帯の店舗のネット予約件数も、前年の2・3倍に上った。
同社ホットペッパーグルメリサーチセンター長の稲垣昌宏さんは「データなどから、昼の懇親会は浸透しつつある。今後も増えていくのでは」と話している。
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