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【社会】保育士試験年2回に 政府方針、16年度にも

2014/01/14

 深刻な保育士不足を解消するため、政府は13日、現在は年1回実施されている保育士資格取得のための国家試験を年2回にする方針を決めた。実施主体の都道府県に変更を促し、財政面で支援する。試験問題の作成などに時間がかかるため、早ければ2016年度から実施する。

 受験者が事前準備のための講座を受講する場合には、15万円を上限にして半額を補助する。

 最新の推計では、保育のニーズがピークを迎える17年度末までに、全国で新たに約6万9000人の保育士が不足することも判明。希望者の受験機会を増やし、資格を取りやすくすることで人材の確保につなげたい考えだ。

 厚生労働省はこれらの施策を「保育士確保プラン」にまとめ、15年度の予算案に、講座受講費の補助分約1億円など関連費用を盛り込む。

 保育士は国家資格で、各都道府県が試験を実施。一般社団法人「全国保育士養成協議会」が指定試験機関として実務を請け負う。児童福祉法は年1回以上と定めているが、実際には毎年1回、全国で一斉に実施されている。15年は8月に筆記試験、10月に実技試験がある。

 政府は待機児童が多い都市部などで年2回を想定し、会場確保や試験作成を支援する。台風や雪の被害が多い時期は外す方針。

 受講費の補助では、国家試験に不合格だったり、合格しても保育士にならなかったりした場合には返還を義務付ける。

 神奈川県は国家戦略特区で一斉試験とは別に独自の試験を年1回実施し、合格すれば特区内で働ける「地域限定保育士」の導入を計画している。

【保育士不足】 厚生労働省によると、保育所で働く保育士は2013年度約万人だが、年度末には約万人必要とされ、待機児童が多い都市部を中心に人手不足が続いている。平均給与(月額)は約万円で、全職種の約万円と隔たりは大きく、資格を取得しても勤続5年未満で離職する人が約半数に上る。このため政府は、4月から始まる「子ども・子育て支援新制度」で保育士の給与アップを図るほか、職員数を増やして負担軽減につなげる。