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【経済】職場発 うちの秘策/名古屋三越 開店前 有志がセミナー

2014/12/20

朝学んですぐ実践

 名古屋三越では開店前に、従業員の有志たちが自主的に研修会を開いている。取り上げるのは、人前での話し方や得意先へのお礼状の書き方など、接客力の向上につながるテーマ。この「朝活」は今年で6年目に突入し、参加者は当初の6倍に当たる年間延べ600人に増えた。(桐山純平)

 ◇ ◇ ◇

 「引きにくいクギ、抜きにくいクギ、抜きにくいクギ、引きにくいクギ」。午前九時半に栄店の会議室で、早口言葉に挑戦するのは売り場で働く男女十二人。一生懸命に口を大きく開けて、滑舌を鍛えた。

 今年最後となる研修会のテーマは、プレゼンテーション力の向上。人に伝わりやすい話をするのが目的で、接客にも役立つ。講師役の栄店販売サービス担当、川地美仲子さん(44)がジェスチャーや論理構成の基本を従業員らに教え込んだ。

 「話し方のテクニックを学べた。接客や朝礼で役立てられそう」。婦人雑貨担当の荒川裕子さん(38)は満足げに職場に向かった。

 「お仕事前のモーニングセミナー」と題したこの研修会は二〇〇九年六月、川地さんのアイデアで始まった。リーマン・ショックの翌年で、経済が沈うつムードに包まれ、「商品があまり売れず、職場に楽しい雰囲気がなかった。お客さんを楽しませなければいけないと感じた」と川地さん。従業員に自信を取り戻してもらおうと、自主参加で始めたのがこの研修会だった。

 仕事が始まる前の朝に研修会を開くのは、学んだことをすぐに現場で実践してもらうため。入居テナントの従業員ら三越の社員以外でも無料で研修を受けられる。お礼状の書き方を学んだ従業員が、手紙を受け取ったお客さんから感謝の言葉をもらったこともある。川地さんは「ここで身に付けたことをそれぞれの仕事場で先生として伝えてほしい」と話し、三越全体の接客力の底上げに期待する。

講師役の社員から、接客時の話し方の指導を受ける従業員たち=名古屋・栄の名古屋三越栄店で
講師役の社員から、接客時の話し方の指導を受ける従業員たち=名古屋・栄の名古屋三越栄店で