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【経済】2014衆院選 アベノミクスを問う/女性起業 続々開花

2014/12/13

子育て両立、再就職…まだ壁も

 「手に取った人の笑顔が見える」と手応えを語るのは、高級造花を使った手作りアクセサリーのブランド「ジュラワー」を立ち上げた深谷知子さん(29)。10月に小さなお店を、名古屋市中区の矢場町にあるベンチャー企業の共有スペースに開いた。 (稲田雅文)

 繊維商社でデザイナーとして8年間勤務した。女性の「寿退社」が多い職場で、将来のキャリアが描きづらかった。そこで1年半前に退職。愛知県の外郭団体の支援を受け、起業した。多くの人に作品に触れてもらおうと、週末は千種区の星が丘テラスの広場に店を出す。「将来は独立した路面店を持ちたい」と語る。

 ◇ ◇ ◇

 ■過去最高
 大月悠(はるか)さん(35)は6月に三重県四日市市でバレエ教室「グランルーンバレエ」を開いた。高校時代にスイス・ローザンヌ国際バレエコンクールに出場。劇団四季にも在籍し、各地のバレエ教室で講師を務めた。夫の仕事の関係で地元の四日市に転居したのをきっかけに、「いつか自分の教室を持ちたい」という夢をかなえようと、四日市商工会議所の指導を受け、起業にこぎ着けた。

 女性社長の割合が全国で最低水準と言われる東海地方だが、起業する女性は増えつつある。日本政策金融公庫が4~9月に東海三県(愛知、岐阜、三重)で行った創業融資のうち、女性の起業は200社。半期では過去最高で、前年同期比31・6%増えた。担当者は「政権が女性の活躍を掲げ、女性向けセミナーが活発に開かれていることも創業を後押ししている」と話す。

 ■ウーマノミクス
 「女性が輝く社会の実現」は安倍政権の看板の1つ。働き手が減る中、女性の活躍によって経済成長を支える「ウーマノミクス」を掲げる。成長戦略では「20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%に引き上げる」ことを目指す。

 だが、企業内での女性登用は遅れている。厚生労働省が8月に発表した雇用均等基本調査によると、企業の課長職以上に占める女性の割合は13年度に6・6%と、2年前から逆に0・2ポイント下がった。また企業に女性登用の数値目標などを義務付ける法案も衆院解散で廃案になった。それでも流れは止まりそうにない。

 「今は女性が活躍しきれていません。活躍できれば社会は変わります」。名古屋大の束村博子総長補佐は10日、中部地方の産官学トップを集めた「中部産業振興協議会」で呼び掛けた。

 ■カベ
 新産業の育成を目指して活動する同協議会は、今回初めて「女性の活躍」をテーマに据えた。出席者からは「トップが本気になる必要がある」「男性も含めた働き方の多様化が必要」などと、職場全体の意識改革を求める声が多く出た。

 女性の働き方をめぐっては、子育てとの両立支援や一度退職した女性の再就職を促す仕組みづくりなど、課題が多い。中部経済連合会の中村捷二副会長(中部ガス会長)は「女性の就労を阻んでいる社会制度の見直しが必要だ」と指摘する。

 「手に取った人の笑顔が見える」と手応えを語るのは、高級造花を使った手作りアクセサリーのブランド「ジュラワー」を立ち上げた深谷知子さん。十月に小さなお店を、名古屋市中区の矢場町にあるベンチャー企業の共有スペースに開いた。 (稲田雅文)
 「手に取った人の笑顔が見える」と手応えを語るのは、高級造花を使った手作りアクセサリーのブランド「ジュラワー」を立ち上げた深谷知子さん。十月に小さなお店を、名古屋市中区の矢場町にあるベンチャー企業の共有スペースに開いた。 (稲田雅文)
自分のバレエ教室を立ち上げ、指導する大月悠さん=三重県四日市市で
自分のバレエ教室を立ち上げ、指導する大月悠さん=三重県四日市市で