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【地域経済】職場発泣き笑い(20)減る仕事離れる仲間

2014/12/12

 日本国籍を取得し、岐阜県各務原市内の鉄工所で正社員として働く藤木マルセロ清さん(49)。最近では、日本企業が工場の海外移転を進めているため、職場を奪われる仲間の日系ブラジル人も少なくない。

 ◇ ◇ ◇

 昨年三月にソニー子会社の工場「美濃加茂サイト」(同県美濃加茂市)が閉鎖された時は大変でした。従業員だった私の友人はブラジルに帰りました。自動車の修理工場で働くそうです。「日本にまだいたかった」と言っていました。彼とは十年近い付き合いだったので、別れを告げたときは涙があふれてきました。

 仕事があれば日本に住み続けたいというのが、日本にいる日系ブラジル人共通の気持ちだと思います。日本は夜でも子どもが外を歩けるほど、安全で暮らしやすいからです。

 でも日本では、工場の閉鎖、海外移転などで仕事が減っています。私が来日した直後の二十年前と比べても、周りの日系ブラジル人が少なくなったように感じます。住み慣れた場所から離れなければならない人もいるんです。日系人を相手にする食料品店なども姿を消しています。ブラジル人は休日には家族や親戚、友人を大勢集めてパーティーを開いたり、スポーツをしたりとにぎやかなのが大好き。だからこそ、仲間が減っていく現状を寂しく感じています。