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【暮らし】女性活躍ってなんですか/「家計負担ばかり増える」 配偶者控除見直しに反響 

2014/11/17

主婦の仕事軽視/もっと働きたい

 配偶者控除や社会保険料の免除といった主婦のための負担軽減策の見直しが、安倍政権の「女性活躍」の掛け声のもとに進められている。女性をもっと就労させるためだというが、「外で働くつもりはない」という主婦は多い。望んでもいないことを「活躍」の美名で押しつけ、結局は税負担増などを強いるだけにならないだろうか。主婦らの意見を聞いた。 (林勝)

 ◇ ◇ ◇

 10月27付の生活面で紹介したインターネットによる意見募集「中日ボイス」に応じた主婦の一部に、制度の見直しによって働こうと思うか、再質問した。

 「いいえ」と答えた岐阜県の専業主(40)は、自らの体験などから「劇的に女性の労働時間が増えるとは思えない」と考える。

 子どもが小学校高学年になった昨年、フルタイムの仕事に就いたが、家事と両立できずに体調を崩し、退職したという。「食事は店の総菜や冷凍食品が増え、子どもの勉強も見られなくなり成績が落ちた。休日は家事に追われ、何のために働いているのか分からなくなった」と振り返る。

 妊娠9カ月という愛知県の女性(29)も「いいえ」と答え、「政権は着眼点を変えてほしい」と訴える。「育児は24時間、臨機応変に対応しなければならない。そんな中でも働ける環境が皆にあるわけではない」との理由だ。愛知県のパート女性(34)も「子どものいる核家族では、安易に勤務時間を増やせない」と主張。「仕事のために子どもを預ける費用もかさむ。家計の負担ばかり強いられているようだ」と嘆く。

 「主婦は家族を守る大切な仕事をしている」との声も根強い。愛知県のパート女性(41)は「PTAや子ども会、町内会の行事など、地域への貢献を無給でやっている。その見返りとして既存の制度は必要」と強調する。保育所や学童保育、介護態勢の未整備のつけを女性に押し付けたまま、「もっと働こう」と旗を振る政権に、三重県のパート女性(54)も反発。「女性は都合のいい格安労働力。間接的に日本経済を支えている」と指摘した。

 働きたいという女性は、見直しに賛同する。三重県のパート女性(41)は「子どもの教育費のため、もっと勤務を増やしたい」。結婚を機に正社員からパートの仕事に変えた愛知県の女性(40)は「壁がなくなれば、今までのように年収を気にしながら働かなくても済む」という。それでも、「政府は税金をより多く納めることを『活躍』と称しているみたい。専業主婦として活躍する方もたくさんいる」と付け加えた。

【所得税の配偶者控除と国民年金保険料の免除制度】
 配偶者控除は、夫が妻を養う場合などで、妻のパート収入が年103万円以下なら、夫の所得から一定額を差し引き、所得税の負担を軽くする仕組み。妻の収入が103万円を超えると、妻にも所得税の支払い義務が生じる。さらに妻の収入が年130万円を超すと、社会保険料などの支払い義務も生じ、夫の勤務する企業などで配偶者手当が打ち切られる場合が多い。政府の経済財政諮問会議や税制調査会はこうした主婦の負担軽減を、女性の就労を妨げる「壁」だと見なして、見直しを検討してきた。年内の総選挙が濃厚となり、自民党税制調査会は日に見直しの先送りを決めている。