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【地域経済】正社員に転換拡大 CKD 技術継承者を確保

2014/11/11

 2014年9月中間決算を発表した中部地方の企業で、非正規社員を正社員に登用する動きが出てきた。工場で働く派遣社員を正社員にしてものづくりの技能を伝承したり、補助的な仕事をしてきた契約社員の女性が活躍できる場を広げるのが狙いだ。(稲田雅文)

 ◇ ◇ ◇

 「派遣社員を正社員に採用する動きを強めている」と話すのは、自動機械メーカーのCKD(愛知県小牧市)の梶本一典社長。この2年で工場で働く派遣社員21人を正社員にした。

 人件費を抑えるため派遣社員を活用してきたが、社内でものづくりの中核を担う人材が手薄に。海外で稼働する工場が増え、技術を指導できる人材の確保も急務になっていた。梶本社長は「国内では特に派遣社員の確保が難しい」といい、人手不足も背中を押した。

 愛知労働局によると、正社員の採用を絞ってきた企業では、中堅社員の不足感が強い。担当者は「人員構成にひずみが出ており、正社員を採用して、技能を継承したいと考える企業が増えている」と話す。

 人手不足などを背景に、トヨタ自動車も14年度に、正社員に登用する期間従業員を前年度の2倍以上の100人超に増やす方針だ。

 一方、鉄鋼商社のカノークス(名古屋市)は10月、女性の契約社員29人全員を一般職の正社員に切り替えた。これまで1年更新で補助的な仕事が中心だったが、木下幹夫社長は「活躍できる場が少なかった女性の戦力を活用したい」といい、待遇改善から手を付けた。

 現在は女性の総合職はゼロだが、一般職から総合職への登用を段階的に進める考え。木下社長は「営業など総合職の仕事にも挑戦してほしい」と話す。

 愛知県は管理職に占める女性の割合が13%と、都道府県別で33位にとどまり「女性の活躍促進」を掲げる。木下社長は「社内の意識改革に真剣に着手する」と語り、正社員化を手始めに育児休暇からの復帰支援などに取り組む。

 正社員化は働き手の希望に沿う。総務省や厚生労働省によると、非正規社員で働くことを不本意と考える人の割合は13年に派遣社員で38%、契約社員で30%に上る。正社員になりたい人の割合は増え、10年に派遣社員で44%、契約社員で43%に達する。