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【地域経済】女性登用中部でも 数値目標設定 企業風土の改革着手も

2014/11/07

 女性が活躍できる社会を目指す政府の方針を受け、2014年9月中間決算を発表した中部地方の企業の間で、女性を登用する動きが広がっている。初の女性課長を誕生させたり、女性管理職の数値目標を定める企業も増加。これまで男性中心だった企業風土の改革に取り組む企業も出始めた。(稲田雅文)

 リンナイでは7月、初の女性課長が2人誕生した。ガス器具に女性の意見を取り入れようと、2000年代から女性の総合職を採用しており、内藤弘康社長は「能力のある女性はどんどん登用したい」と語る。

 トヨタ自動車の主要グループ企業は数値目標を策定した。トヨタ紡織は女性管理職を現在の13人から、20年に2倍以上の30人、30年に5倍以上の65人程度に増やす計画。またトヨタやデンソー、アイシン精機、豊田自動織機は20年に女性管理職を現在の3倍に増やす目標を決めた。

 ただ中部地方の主力の製造業では、そもそも女性が少ない企業も多く、「政府が決めて押しつけるのはどうか。それぞれ歴史や伝統がある」(西村義明・住友理工社長)との声も根強い。「製造業の現場では女性トイレがないところもある」(中部財界首脳)といい、まずは企業風土の改革から手を付ける企業もある。

 大同特殊鋼は10月、女性の配属のあり方や人事方針など企業風土を改革するプロジェクトチームを発足させた。現在、女性管理職は9人いるが、工場で働く従業員1900人のうち女性は数人で、事務職でも18%ほど。嶋尾正社長は「実力のある人材をどう育成するかは、男女関係なしに進めないといけない」と語る。

 管理職の登用だけでなく、女性の視点を生かした商品開発の取り組みも広がる。化粧板大手のアイカ工業では、女性のプロジェクトチームが、同社製品が壁材などに使われる女性トイレの使い勝手の向上に取り組む。メンバーで営業職の伊藤麻衣さん(28)は「ものづくりの難しさと責任の重さがあるが、女性の意見が直接製品に反映され、商品も勧めやすくなった」と語る。小野勇治社長は「駅やデパートで採用されるなど成功している」と評価する。

女性の意見を取り入れて開発した女性トイレの洗面台で意見を交わすアイカ工業の伊藤麻衣さん(右)ら=名古屋市千種区で
女性の意見を取り入れて開発した女性トイレの洗面台で意見を交わすアイカ工業の伊藤麻衣さん(右)ら=名古屋市千種区で