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【地域経済】育児に特許に全力 デンソー社員表彰

2014/10/25

女性奨励賞に寺本さん

 女性エンジニアや研究者の交流団体「日本女性技術者フォーラム」(JWEF)が主催する「女性技術者に贈る奨励賞」に、2児の母として自動車部品開発に携わるデンソー(愛知県刈谷市)電機システム技術部設計室係長の寺本年世(としよ)さん(40)が選ばれた。26日、東京で授賞式がある。(太田鉄弥)

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 同賞は、日本の職場意識を変えるような働き方をしている女性を表彰し、お手本としてもらおうと、2009年から毎年1人に贈られている。

 職場結婚した寺本さんは、育児で残業できなくなる負い目から退社を考えたが、社内の女性社員研修で「自分に何ができるかを考えて。『メイ・アイ・ヘルプ・ユー(May I help you=何かお手伝いしましょうか)?』だ」と副社長に言われ、考えを変えた。

 同僚たちが、車のバッテリーを管理する新型センサーの量産化に向けて必死に働く中、特許の出願準備に誰も手が回っていないことに気づき「私にやらせてください」と上司に相談。育休中も特許業務の勉強を続け、製品化に貢献できた。

 長男(9つ)、長女(4つ)とのスキンシップを大切にしつつ、現在はスズキの軽自動車の低燃費技術「エネチャージ」の中核となる電池パックの開発に携わる。26日、東大工学部講堂で開かれる受賞講演では「『育児で忙しい』『職場の理解がない』と周りのせいにしてあきらめては駄目。自分ができることを考え、職場や家族に提案しよう」と呼びかけるつもりだ。

育休中も特許出願の勉強を続け、量産化に貢献できたという思い出のセンサー部品を手にする寺本年世さん
育休中も特許出願の勉強を続け、量産化に貢献できたという思い出のセンサー部品を手にする寺本年世さん