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【地域経済】職場発泣き笑い(9)「とにかく貸せ」に疑問

2014/10/07

 社員に厳しいノルマを課す会社は多い。東海地方の地方銀行支店で住宅ローンを担当する40代のハルさんは、銀行の「とにかく貸せ」という姿勢に疑問を感じ始めている。

 ◇ ◇ ◇

 住宅ローン金利は今、史上最低の金利水準ですよ。銀行同士の競争が激しく、金利低下に拍車が掛かってます。お客さまが返済できなくなったときに備えた損失計上などを考慮すると、住宅ローンで本当にもうかっているかは疑問です。

 でも、銀行には支店ごとにノルマがあり、少しでも多く融資することが求められている。幹部が「きちんと貸してもうけようとしている」という姿勢を金融庁や株主に見せたいだけなんですけど、上からは採算割れしても「貸せ」と指示が出る。だから、ノルマ達成のために皆が突っ走っちゃう。

 金利が低いとお客さまにとってはお得でも、ノルマ達成のために返済能力のない人にでも貸すから、必ずしもお客さまのことを考えているわけではないんです。

 この前も私は、年収300万円ほどの人に、10倍近い3000万円を貸しました。勤務先を審査しても、今の給与水準が将来も維持できるかどうかは疑問な人です。

 昔、上司から融資の判断をする際には「自分の金と思って、貸せるかどうか考えろ」とよく言われたものです。自分のお金だったら間違いなく貸しませんよ。