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【愛知】一宮、稲沢で労災急増 「休業4日以上」人手や対策不足原因か

2014/10/06

 一宮労働基準監督署の管内(一宮、稲沢市)で、休業補償の対象となる「休業4日以上」の労災事故が増えている。今年は、9月末までで271件。前年同期より25%近く増え、過去4年間で最多。建設業や保健衛生業では人手不足、商業や製造業では安全対策の不備が原因とみられる。建設業を中心に人手不足が社会問題化していることもあり、労基署は管内の事業所に注意を呼び掛けている。 (太田理英子)

 業種別で最多だったのは前年より20件増えた製造業。商業、運輸交通業、建設業という順だった。

 増加が顕著だったのは商業、保健衛生業、製造業の金属製品部門の3業種。22件増の商業をみると、主に飲食店の調理場や大型店の倉庫などで発生。床がぬれていたり安全な作業スペースが確保されていなかったりして、転倒や転落が多かった。

 介護施設などが含まれる保健衛生業では、近年の福祉関係の事業所の急増に伴う人手不足が原因とみられる。金属製品部門では、機械に手を挟む事故などが中心で、機械に安全装置が施されていないケースのほか、従業員が少ない工場では指導監督役を配置できない事情もあるよう。

 一方、管内で死亡に至ったケースは6月、一宮市内の解体現場で男性作業員が重機のバケットに挟まれた1件だった。

 厚生労働省の調べでは、今年は8月末までで、全産業で618人が労働災害で死亡し、前年同期より8%ほど増加。うち陸上貨物運送事業は前年同期比31%増、建設業は19%増だった。いずれも熟練労働者の不足や、4月の消費税増税前の駆け込み需要による発注の急増などが原因として考えられる。

 一宮労基署の大竹克則署長は「労災発生後の対応にとどまらず、災害が多い製造、建設業などを重点的に、未然に防ぐための監督指導をしていきたい」と話す。