2014/09/24
妊娠・出産を理由に職場で不利益な扱いを受けるマタニティーハラスメント(マタハラ)の問題を考えるシンポジウムが23日、東京都内で開かれた。政府は女性の活躍を掲げるが、基本的な権利さえ守られていない実態が報告され、専門家は「事情をかかえながら働くことが当たり前の社会をつくる必要がある」と指摘した。
◇ ◇ ◇
「どうしても仕事したい場合はアルバイトで来るしかないんじゃないの」「妻に妊娠が分かった時はすぐに仕事を辞めさせた」。契約社員として雑誌編集の仕事をしていたマタハラNet代表の小酒部(おさかべ)さやかさんは、切迫流産で静養中に自宅を訪ねてきた上司の言葉を紹介した。
労働審判で納得のいく和解が成立したが、「女性は妊娠したら仕事を辞めて育児をすべきだ、という価値観に凝り固まった上司には、働きたいという思いは通じなかった」と言う。Netでは「昭和の価値観押し付け型」などマタハラを4つに類型する。
ブラック企業対策弁護団の鈴木絢子弁護士も、妊娠すると退職をほのめかされたり、時短勤務を拒否されたりした例を報告。立教大の杉浦浩美特任研究員は「育児や介護を妻に任せ、自分の体を大切にできず長時間働く『男性労働者モデル』に女性たちが合わせなくてはならない状況が続いてきた」と背景を説明し、労働時間規制の重要性を強調した。
政府は2020年までに女性管理職を3割にする目標などを掲げるが、小酒部さんは「まずは女性たちが普通に就労を継続できるようにすることが先決」、杉浦さんは「不利益を受けてきた人たちの声を伝える人が意思決定機関に入っているのか、きちんと見ていかなくてはいけない」と話した。
転職・求人情報検索(名古屋市・愛知県・岐阜県・三重県)はトップから