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【愛知】吃音改善 就活乗り切れ 名古屋の喫茶店で21日交流会

2014/09/16

 言葉がつっかえて滑らかに話せない吃音(きつおん)に悩む就職活動中の学生らを対象とした交流会「吃音カフェ」が21日、名古屋市で開かれる。就活戦線を一緒に乗り切ろうと、当事者団体の名古屋言友会が企画。吃音を改善する独自のリハビリ法を編み出した言語聴覚士が「傾向と対策」を伝授する。(生活部・山本真嗣)

 「普通に話して」。昨年まで就活をしていた寺本有輝さん(23)=三重県川越町=は、会社の面接で試験官からこう言われた。別会社の営業職の面接では、自己紹介が3分以内とされていたのに30秒で打ち切りに。商工団体からは「うちで仕事をするのは無理。話し方を治さないと他でも厳しい」と突き放された。「吃音があると職業選択も制限されるのか」と寺本さん。今は吃音者の役に立ちたいと、言語聴覚士を目指して専門学校に通う。

 金沢大の小林宏明准教授(心身障害学)によると、吃音のある学生の相談の大半は就活。吃音というだけで能力を低くみられたりすることもあり、面接をどう乗り切るかが相談の中心という。

 名古屋言友会事務局長でシステムエンジニアの牧内恵一朗さん(25)=名古屋市中区=は入社後、受話器を手に1分近く言葉が出ないことも。吃音を会社に隠さなければという思いがのしかかった。

 吃音を克服する確立された方法はまだない。名古屋市で「つばさ吃音相談室」を開き、自身も吃音者の言語聴覚士羽佐田竜二さん(41)=愛知県大府市=は警察官になったが、会話に苦しみ3年で退職。その後、効果があるとされる方法を片っ端から試した。腹式呼吸で吐き始めよりも少し遅いタイミングで声を出すと症状が出にくいことに気付き、発話をコントロールする方法を編み出した。

 カフェは、牧内さんが「吃音の“同期”で、不安を気軽に語り合おう」と発案し、講師を依頼された羽佐田さんが快諾。羽佐田さんは「私の方法はあくまで選択肢の1つ。仲間や先輩の話を聞き、自分の対策を考えてほしい」。就活生だけでなく、吃音で仕事が行き詰まっている40歳未満の人も参加できる。当日は午後1時から、名古屋市昭和区の喫茶店「BookCafe Co-Necco」で。700円。定員20人。問い合わせは牧内さん=電080(5142)9588=へ。

【吃音】
 「あ、あ、ありがとう」などと言葉を繰り返したり、発語時に言葉が出なかったりする言語障害。男性に多く、大半は幼児期に発症。数年で自然消滅するケースも多く、成人の1%に吃音があるとされるが、原因は分かっていない。対処できる病院も少なく、言語聴覚士や耳鼻咽喉科、心療内科などの医師が発声法や薬物療法などの方法で取り組んでいる。

「吃音カフェ」のチラシを見せて来場を呼び掛ける牧内恵一朗さん=名古屋市昭和区で
「吃音カフェ」のチラシを見せて来場を呼び掛ける牧内恵一朗さん=名古屋市昭和区で