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【地域経済】縁の下のドボジョ(土木女子)ダム管理、回線工事 活躍の場広がる

2014/07/29

 情報通信や電力・ガスなど生活への関係が深い中部地方の工事現場で、女性が活躍の場を広げている。ヘルメットと作業着を身につけ、土木工事などに汗を流す女性は「ドボジョ」と呼ばれ、人気漫画のタイトルにもなった。国土交通省は土木建設の現場で働く女性を5年間で2倍に増やす方針を掲げており、男性中心だった職場でさっそうと働く「ドボジョ」が増えていきそうだ。(渥美龍太)

 ◇ ◇ ◇

 高さ30メートル、横幅140メートル超の中部電力西平ダム(岐阜県揖斐川町)。ここを仕事場にする中電西平土木管理所の豊田さん(25)は、土木関連現場を希望して配属された。天気予報を見ながら放水ゲートを開閉して貯水量を調整する業務の傍ら、時には高さ30メートル超のダム上部で設備点検もこなす。夜勤も月8日ほどあるという。

 高等専門学校で土木を専攻した豊田さんは「授業でつり橋の話を聞くだけでわくわくした」と話す根っからのドボジョ。「人の生活を陰ながら支えられるのが魅力」と現場を希望した理由を話す。中電では2008年、入社したばかりの女性が初めてダム管理業務に就いた。現在は豊田さんのほか数人が現場で働いており、各地の土木管理所で女性用トイレや更衣室などの整備を進めてきた。

 NTT西日本名古屋支店は3~4月、女性の現場従業員が一人暮らしの女性宅で光回線の引き入れ工事を担う「エンジェルプロジェクト」を試験的に行った。工事で男性が部屋に入るのに抵抗を持つ女性顧客が多かったため、同支店が独自に企画。工事を担当するグループ会社、NTTフィールドテクノ東海支店で働く女性23人のうち、7人が参加した。

 メンバーの一人、野田美春さん(24)は「女性だと現場で危険な仕事を任せられないなど、過保護にされがち。今回は女性としての役割を求められてうれしい」と語る。業務では「配線をきれいに整えるなど見た目を重視した」という。

 工事実績は25件で、NTT西日本名古屋支店の担当者は「女性に工事をしてもらって安心だった、という声が多かった」と手応えをつかんでいる。年度内にもう一度このプロジェクトを試行し、本格的な導入を検討する。

 東邦ガスは3年ほど前、4年制大学を卒業した理系出身の新入社員全員を対象に、ガス管敷設などの工事現場を体験させる制度を導入した。女性社員は内勤が中心だったが、業者が図面通りに工事をしているかなどをチェックし、管理職になるためのキャリアを積ませるためだ。

 同社の広報担当者は「ガス事業は現場が第一。女性でも現場を経験することで将来、必ず役に立つ」と強調する。

ダムを見守る中部電力の豊田さん=岐阜県揖斐川町の西平ダムで
ダムを見守る中部電力の豊田さん=岐阜県揖斐川町の西平ダムで