2014/07/26
提案の男性、社員に登用
レンタル離れに歯止めをかけようと、レンタルDVD大手のゲオ(名古屋市)が、収録時間の短い作品を集めた「90分映画」のコーナーを新設した。アルバイト店員のアイデアで生まれた新企画で、映画を見たくても時間がない人たちのニーズを掘り起こしている。(白石亘)
「忙しくてなかなか借りられない」。4年前から福岡県内のゲオの店でアルバイトをしていた松岡良房さん(24)は、なじみの客からこんな声を聞くようになり、収録時間が短くて見やすい映画を勧めていた。しかし、時間が短い作品だけを集めたコーナーはなく、わざわざパッケージの裏側の収録時間をチェックする必要があった。
そこで松岡さんは今年2月、従業員からアイデアを募る社内コンテストで、時間の短い良作を集めた「90分映画」のコーナーを提案。これがトップの目に留まり、最優秀賞になった。
6月から全国各地にある全1300店で、約100タイトルを並べた専用コーナーを設けると、対象作の貸出数は2~3割も伸びた。
トム・クルーズさんやメリル・ストリープさんらが出演し、米国政府の対テロ政策の裏側を批判的に描く社会派ドラマ「大いなる陰謀」(2008年公開、92分)など魅力的なソフトがそろう。
日本映像ソフト協会の利用者調査では、レンタルの利用が減ったり、全く利用しなくなった人は56%に上り、レンタル離れが加速する。最も多い理由は「時間のゆとりがなくなった」だった。
ゲオ商品企画部の山中直人さんは「ネットやゲームなどメディアが多様化し、利用者の時間の取り合いになっている。90分映画は時間当たりの満足度をいかに高めるか、という課題への新しい切り口になる」と語る。
今回の提案をきっかけに、松岡さんはアルバイトから正社員に登用され、今月から名古屋本社で90分映画の担当を任されている。松岡さんは「90分映画は起承転結のスピードが速く、内容が凝縮されている。時間がない人だけでなく、本数をたくさん見て、いい作品に出合いたい人にもお勧め」と話している。
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